写真がなくても再現できるよう数値の目安と失敗パターンを添え、最後にチェックリストで自己点検できる構成にしています。
- 起点はエンド側から1周の仮巻きで位置決めする
- 重ね幅は7〜10mmを基本に親指側はやや広め
- テンションは引き伸ばし3〜5%を目安に均一
- 段差は手の当たりやすい稜線で意図的に作る
- 仕上げは端処理と乾燥で密着を安定させる
- 厚みは目的別に1.5〜3.0周で微調整する
バドミントンのタオルグリップの巻き方|やさしく解説
巻き方の前提として、どの厚みと素材を選ぶかで仕上がりが大きく変わります。汗量、手の大きさ、求めるフィーリングを先に決めると、巻いた後の後悔が減ります。さらにホコリを噛みやすい環境か、頻繁に交換できるかも判断材料です。
汗量と手汗体質を把握する
汗が多い人ほど吸水量の高い厚手タイプが向きますが、厚すぎると握り替えが遅くなります。練習1本分で湿るなら厚手、ゲーム全体で湿る程度なら中厚、ほぼ乾いているなら薄手を基準にしましょう。粉や松脂の併用可否も先に決めておくと選択がぶれません。
ラケットバランスと太さの関係
ヘッドヘビーは厚く巻くと先端の重さを相対的に緩和できます。反対にヘッドライトで厚みを増すと操作感が鈍くなる傾向があります。現在の太さから外周で2〜4mmの増加までは慣れやすく、6mm以上は打感が変わるため段階的に調整しましょう。
握り直しと面づくりのしやすさ
段差を作ると指の引っ掛かりが生まれて面の再現性が上がります。均一な厚みは滑らかで疲れにくい反面、位置情報が乏しくなることもあります。親指と人差し指のV字が触れる稜線にだけ0.5周分の段差を残すやり方がバランス良好です。
使用環境と季節要因
夏の体育館は湿度が高く乾きにくいため、吸水は高いが乾燥も早い目の詰まったタイプが便利です。冬は静電気で粉が付きやすいので、粉なし運用か、目の粗いタオルで通気を確保すると持ちが良くなります。環境で巻き方も微調整していきます。
衛生と交換頻度の目安
皮脂や粉が蓄積すると滑りの原因になります。週2回以上使うなら2〜3週間に一度の交換が目安です。汗量が多い人は試合ごとに巻き替えると安定します。巻き替え周期を手帳やスマホで管理して、劣化によるミスを予防しましょう。
ミニ統計(G)
- 厚手は初期の吸水が高いが乾燥時間も長い傾向
- 段差ありは面の再現性が向上しやすい
- 交換周期を決めると滑りの自己申告が減少
ミニFAQ(E)
- Q: 粉は必須? A: 汗量が多い人の緊急対策に有効ですが、粘りが出るなら拭き取りを優先します。
- Q: 厚手と薄手の違いは? A: 厚手は吸水と緩衝、薄手はダイレクト感と軽さです。
- Q: 交換のサインは? A: 目が寝てテカり始めたら交換です。
チェックリスト(J)
- 汗量の自己評価を3段階で決めたか
- 現在の太さから増やす外周を2〜4mmに抑えるか
- 段差を作る位置を1カ所に限定したか
バドミントンのタオルグリップの巻き方の基本

ここでは誰でも再現できる標準の巻き方を示します。下巻き、重ね幅、テンションを統一すると仕上がりが安定します。数値は目安ですが、毎回同じ条件で巻くことが最大のコツです。
準備と下巻きの作り方
古いグリップをはがし、柄を乾拭きして油分を取ります。エンド側に両面テープを細く1周。タオルの端をエンドキャップから5mmはみ出す位置に置き、1周だけ軽く仮巻きして起点を決めます。ここでズレを直してから本巻きに入ると、最後まで段差が整います。
巻き方向と重ね幅の基準
利き手に対して自然に締まる方向へ巻きます(右利きは時計回りが多い)。重ね幅は7〜10mmを基本に、親指側の稜線だけ広めにして段差を意図的に作ります。重ね幅が狭すぎると隙間ができ、広すぎると吸水面積が減るため中庸を守ります。
テンションと厚みのコントロール
引き伸ばしは全長の3〜5%を目安に一定を保ちます。根元で強く、先端で弱くではなく、全域で同じ張力にします。厚みを増やしたいときはテンションではなく周回数で調整し、2.0〜2.5周を標準、3.0周は太さの大きな変更として扱います。
端処理と固定のコツ
最後はエンド側に戻すのが緩みにくい方法です。端は斜めにカットして段差を小さくし、付属テープは引っ張らずに押さえる感覚で貼ります。巻き終わりを親指側に置くと剥がれにくく、ラケットバッグに当たっても傷みにくくなります。
乾燥と馴染ませの作法
巻いた直後は繊維が立っているため、手の平で軽く押さえて毛並みを寝かせます。使用前に5〜10分休ませると密着が進みます。汗が付く前に一度ドライで素振りして、段差の位置や太さを感覚に落とし込みましょう。
手順まとめ(H)
- 旧グリップ除去→乾拭き→両面テープを細く1周
- エンドから5mmはみ出しで仮巻きし位置決め
- 重ね幅7〜10mmを維持し均一テンションで巻く
- 稜線に段差を意図して配置し周回で厚み調整
- 斜めカット→固定テープは押し当てで貼る
- 手の平で馴染ませ5〜10分休ませる
注意:テンションを強くし過ぎると繊維が潰れて吸水が落ちます。厚みは周回数で調整し、張力は一定を守りましょう。(D)
ベンチマーク早見(M)
- 重ね幅:7〜10mm、親指側は10〜12mm
- 引き伸ばし:3〜5%で均一
- 標準厚み:2.0〜2.5周、太さ変更は3.0周
厚みと太さを最適化する考え方
打感は厚みで大きく変わります。厚い=吸水とクッション、薄い=ダイレクト感と軽さです。目的に合わせて太さを決め、段差の位置を微調整すると、面の作りやすさが安定します。
厚く巻く・薄く巻くの基準
厚く巻くと手の当たりが柔らかく、スマッシュや守備の衝撃が和らぎます。薄く巻くと細かな面操作がしやすく、ネット前の置きやプッシュで利点が出ます。週ごとの練習テーマに合わせ、2.0周と2.5周を使い分けるだけでも体感が変わります。
パワー志向とタッチ志向の差
パワー重視は段差を控えめにし、均一な円筒に近づけると握り替えがスムーズです。タッチ重視は親指と人差し指の稜線に段差を残して、面の基準点を作ると良好です。どちらも過度な段差は疲労の原因になるため、0.5周程度の控えめ設定を守ります。
手の大きさとグリップ長の調整
手が小さい人はエンド側の重ね幅を狭めて全長を確保し、手が大きい人はエンド側を広めにして稜線を早く作ると握り位置が決まりやすくなります。先端まで巻き切らず、最後の1.5cmを残して軽く締めると、細部の当たりが柔らかく仕上がります。
比較(I)
厚め
- 吸水と緩衝に優れる
- 重量増で先のブレが減る
- 細かな面操作はやや鈍い
薄め
- 軽くてキレが出る
- 感触がダイレクト
- 汗量が多いと飽和しやすい
太さ・厚み早見表(A)
| 目的 | 周回数 | メリット | 注意 |
|---|---|---|---|
| コントロール | 2.0周 | 面操作が鋭い | 汗で飽和しやすい |
| バランス | 2.5周 | 吸水と操作の両立 | 重さがやや増える |
| 衝撃吸収 | 3.0周 | 手の負担が軽い | 太さが変わり過ぎる |
| 段差活用 | 2.0周+稜線0.5周 | 基準点がわかりやすい | 当たりが強くなりやすい |
よくある失敗と回避策(K)
失敗:厚みをテンションで出そうとする。
回避:テンションは一定、厚みは周回で調整。
失敗:段差を多地点に作る。
回避:稜線1カ所だけに限定する。
失敗:先端まで過密に巻く。
回避:最後は1.5cm余らせて軽く締める。
試合中のメンテと巻き替え運用

最高の巻き方も時間と汗で性能が落ちます。乾拭きと休ませ、緊急巻き替えの手順を決めておくと、終盤の滑りを抑えられます。バッグ内での保管方法も持ちを左右します。
前日と当日の準備
前日に予備のタオルを2本準備し、端を斜めにカットしておきます。当日は1試合目の1時間前に巻き、控えは筒状に軽く巻いた状態でジップ袋に入れておきます。湿ったまま放置せず、試合後は風通しの良い場所で陰干しします。
インターバルでのケア術
汗が多い日は乾いたタオルで表面を押さえるだけで吸いが復活します。粉を使うなら薄く一度だけ。塗り過ぎは粘りの原因です。端の浮きが出たら固定テープの上から押さえ、剥がれを防ぎます。拭く→押さえる→呼吸、の順で整えます。
緊急巻き替えの時短手順
ゲーム間で巻き替える場合は、古いグリップを途中まで残して新しいグリップを上から半周重ね、残りを引き抜く方法が速いです。重ね幅は通常より広めにし、テンションは控えめ。固定テープは端から押し当て、最後に一周だけ軽く締めます。
時短手順(H)
- 古い巻きを途中まで剥がして端を残す
- 新しい端を半周重ねて固定
- 残りを引き抜きながら広め重ねで一気に巻く
- 端は斜めカット→押し当てで固定テープ
試合用携行物(C)
- 予備のタオルグリップ×2と固定テープ
- 小さな乾いたタオルとジップ袋
- ハサミと細幅の両面テープ
- 薄手の手拭きとアルコールシート
インターバルで端が浮き焦ったが、押さえ→乾拭き→薄く粉の順に整えると滑りが止まり、終盤のミスが減った。準備物が決まっているだけで慌てなくなった。(F)
素材とブランドの選び方
選択肢は多く見えますが、見るべきは織りの密度、厚み、表面の毛足です。価格は耐久と直結しません。手の条件に合う指標を決めてから探すと迷いません。
綿・混紡・厚手薄手の特徴
綿は吸水と肌触りが自然で、混紡は乾きが早くへたりにくい傾向です。厚手は吸水と緩衝、薄手は軽さとキレが出ます。毛足が長いほど柔らかいがホコリを噛みやすいので、体育館の床質も考慮しましょう。
コスパと耐久の考え方
高価=長持ちではありません。密度が高いものは初期性能が良い一方、乾きに時間がかかる場合もあります。練習量が多い人ほど交換のしやすさを優先し、まとめ買いで周期を固定するとコスパが安定します。
初心者・ジュニア・女子の目安
握力が発展途上の段階では薄手や中厚で細めの仕上がりにして、面操作の習得を優先します。指の基準点が欲しいなら稜線だけ段差を0.5周。過度な太さは握り替えを妨げるため、外周+2〜4mmで始めるのが安全です。
買い方の順序(B)
- 汗量と太さの目標を先に決める
- 密度と毛足を触ってチェックする
- 中厚1本と薄手1本を試して比較
- 合う方をまとめ買いし交換周期を固定
- 季節で薄手↔厚手を入れ替える
利点(I)
- 基準で選ぶと迷いが減る
- 交換周期が安定する
- 仕上がりが毎回そろう
留意点(I)
- 毛足が長いとホコリを噛みやすい
- 厚手は乾燥時間が長い
- 薄手は吸水飽和が早い
ミニ用語集(L)
- 毛足:表面の繊維の長さ。長いほど柔らかい。
- 密度:繊維の詰まり具合。高いほど吸水は高いが乾きにくい。
- 飽和:吸えなくなった状態。乾拭きで一時回復。
- 稜線:握りで指が触れる角。基準点に使う。
- 外周:グリップの太さ。2〜4mm増を目安に。
失敗の原因と改善チェック
滑る、緩む、重くなる——原因は巻き方の手順にあります。起点、重ね幅、テンション、端処理の4点に戻って見直すと、ほとんどの問題は解決します。
滑る・緩む・重くなるの対処
滑りは繊維の潰れや粉の過多が原因です。乾拭き→休ませ→必要なら軽く粉の順で整えます。緩みは端処理の張り過ぎが多く、押し当てで貼り直すと改善します。重いと感じる時は周回を0.5周減らし、段差の位置だけで指の基準を確保します。
テーピングとの併用
手の豆や痛みには薄いテーピングが有効ですが、厚く巻くと太さが変わります。テーピングを使う日は周回を0.5周減らすか、段差を控えめにしましょう。粘着がタオルに残ると劣化を早めるため、剥がす方向をタオル目に沿わせます。
オーバーグリップとの違い
オーバーグリップは薄くて軽く、タオルは吸水と緩衝に優れます。混在運用は可能ですが、タオルの上にオーバーを巻くと太くなりやすいため、外周の目標を明確にしてから選択します。季節で使い分けるのも実用的です。
セルフチェック(J)
- 端は斜めカットで段差を小さくしたか
- 固定テープは引っ張らず押し当てたか
- 重ね幅は7〜10mmを維持したか
- 周回で厚みを調整しテンションは一定か
ミニFAQ(E)
- Q: 途中でほつれたら? A: 糸を切らずに裏へ押し込み、上から固定テープで抑えます。
- Q: 洗える? A: 通常は交換が前提。洗うと毛足が寝て吸水が落ちます。
- Q: 汗が少ない日は? A: 2.0周薄手にして軽さとキレを優先します。
ミニ統計(G)
- 端処理の見直しで緩みトラブルが大幅減
- 周回微調整で重量違和感の自己申告が減少
- チェックリスト運用で交換忘れが減る傾向
まとめ
タオルグリップの完成度は、下巻きの位置決め、重ね幅の一貫、テンションの一定、端処理と乾燥の4点で決まります。段差は稜線1カ所に控えめに作り、厚みは周回で調整しましょう。
試合では乾拭きと休ませ、緊急時の時短手順を用意すれば終盤の滑りを抑えられます。素材は密度と毛足を触って選び、交換周期を固定すると再現性が高まります。今日の巻き替えから、重ね幅7〜10mm・引き伸ばし3〜5%・2.0〜2.5周の基準で始めて、あなたの最適解に寄せていきましょう。


