いきなりすべてを変えるより、まずは得点の多い場面から1つずつ型にすると、ペアの呼吸が揃いやすいです。終盤の一本を取り切るために、練習から同じ合図と狙いを共有していきませんか?
- サーブ順と立ち位置の関係を一度整理しておく
- 前後と横並びの陣形を状況で素早く切り替える
- 三球目の軸を決め、味方が動きやすい球に寄せる
- 守備は面の向きと高さで時間を作る意識から
- 合図と声かけを短い言葉に絞り迷いを減らす
- ミス後のリスタート手順を事前に決めておく
バドミントンダブルスコツをルールから読み解き配置と三球目設計で崩し続ける|基礎訓練
最初の焦点は、誰がどこを守り、どの球で主導権を握るかです。役割の固定と例外を決めておくと、迷いが減り、ラリーの速度が上がっても位置関係が崩れにくくなります。ここでは基本の陣形と三球目までの設計を、実戦で使える粒度に落とし込みます。
サイドバイサイドの使い分け
横並びは守備範囲が広く、相手のスマッシュが強いときの安全地帯になります。相手が後衛から強打を続ける局面では、真ん中を譲り合わない約束を前もって置くと、抜け球が減ります。
ただし自分たちが攻めへ移る合図を用意しないと、受け身が続いて点が伸びにくいです。短い浮き球を前衛が踏み込んでプッシュできたら、即座に前後へ移る流れが目安になります。
前後フォーメーションの切替
前後は攻撃の配列で、前衛がネットを支配し、後衛が重い一打で崩し続けます。
ロブで相手を下げられたら迷わず前後に並び、後衛は「コート中央へ落ちるスマッシュ」と「緩いドロップ」を混ぜて相手のステップを乱します。前衛はネットの浮きに備えつつ、相手前衛のラケットが下がった瞬間だけ詰めると被弾が減ります。
交差ローテの合図
後衛が逆サイドへ強打した直後は、空いた前のスペースをペアで埋める必要があります。視線や短い合図(例:入る、任せる)で交差するか残るかを即決できると、相手の返球を先取りできます。
交差の判断は「球の質>打点>相手前衛の位置」の順で見るとブレにくく、練習ではパターンを固定してから自由度を上げるのが扱いやすいです。
三球目の優先順位
サーブとレシーブの直後は配置が決まり切らず、失点も得点も生まれやすい時間です。三球目の狙いを事前に決めておくと、前衛と後衛が同じ絵を見られます。
たとえばレシーブ側は「ネット前へ落として前衛勝負」、サーブ側は「相手後衛へ下げて前後に移行」といった軸を持つと、選択に迷いが出にくいです。
ミスの連鎖を止める声かけ
連続失点は内容よりも感情の揺れが原因になりがちです。短い言葉で役割と意図を再確認すると、手触りが戻ります。
「次は前詰め」「クロス外す」「真ん中責任」など三語以内のフレーズを用意し、サーブ前やレシーブ前に交わすだけで、配置のズレが減っていきます。
注意 陣形の切替は“勝ちパターン”だけでなく“逃げ方”も決めておくと粘れます。苦しいときは横並びで時間を作り、整ったら前後へ戻す二段構えが目安です。
手順ステップ
- 得点の半分以上を取った形を映像や記憶で特定する
- その形に入るための三球目の狙いを一つに絞る
- 例外処理(弱点球が来たときの逃げ方)を短い言葉で決める
ミニ統計
- 三球目の型を共有したペアは、ラリー10本中の主導権獲得が増える傾向です
- 交差の合図を二語以内に限定すると、ミスコミュニケーションが減ります
- 横並び→前後の戻し所を決めると、長いラリーの被弾が抑えられます
サーブとレシーブのルールを味方にする

点が動きやすいのは、サーブ周りです。サービス順と立ち位置を理解し、相手の癖を早めに掴むと、同じコースでも展開が変わります。ここではルールに根ざした選択で、三球目までを有利に導く考え方をまとめます。
サービス順とコートの位置
得点側が右から始め、以後は奇数点で左、偶数点で右という流れを共有しておくと、混乱が減ります。
サーブを打つ人だけでなく、相方の立ち位置も点数に連動するため、ラリーが切れた瞬間に「右・左」を確認すると、ポジションミスが起きにくいです。相手の並びを観察する癖も早い段階から持っておくと対策が進みます。
ショートサーブの高さとコース
基本はネット直後に落ちるショートで、相手前衛のプッシュを誘いにくい高さが目安です。
右利きの相手にはバック側を突くとラケットの立ち上げが遅れ、浮き球が出ます。時折ロングサーブを混ぜると、相手の前傾を抑えられますが、連続は読まれやすいため変化の一手として使うと効果的です。
レシーブの返球パターン
ショートに対してはネット前へ短く置くか、クロスのアタックロブで下げるのが扱いやすいです。
相手が前衛を強く出すタイプなら、真ん中へ速いドライブを通して二人の間を割ると、次のボールが甘くなりやすいです。返球の選択はペアの足と相談し、踏み出しやすい方向を優先すると連続で圧を掛けられます。
| 場面 | 狙い | コースの例 | ねらいの効果 |
|---|---|---|---|
| 自サーブ | 前衛勝負 | 相手バック前 | 浮きを誘い前衛がプッシュ |
| 自サーブ | 位置入替 | 相手後衛深く | 前後へ移行し攻撃継続 |
| 相手サーブ | 時間作り | クロスロブ | 相手を下げ体勢を整える |
| 相手サーブ | 速攻 | センタードライブ | 二人の間を割り混乱を誘う |
| 相手サーブ | 前衛勝負 | ネット前 | 前衛に仕事を作って主導権 |
Q&AミニFAQ
Q ロングサーブはどのくらい混ぜますか。
A 相手が前傾で詰めてきたときの牽制として2〜3本に1回が目安です。続くと読まれます。
Q サーブミス後の立て直しは。
A 次のレシーブでネット前へ置いて時間を作り、前後に戻る流れに寄せると落ち着きやすいです。
よくある失敗と回避策
高さが出すぎて前衛に叩かれるケース。打点を低く保つ意識と、相手前衛の距離を観察する習慣で軽減できます。
点数に気を取られて立ち位置を誤るケース。ラリーが切れたら必ず「右・左」を確認する小さな儀式を作ると、再発を防ぎやすいです。
返球が単調になるケース。真ん中とクロスを交互に入れ、相手の読みを散らすだけでも展開が変わります。
前衛の仕事を明確にしてネットを支配する
ダブルスの得点源は、前衛の一歩にあります。面の角度と足の刻みが揃うと、同じ球でも相手に与える圧が変わります。ここではプッシュ、フェイント、ブロックリフトの基準をそろえ、被弾を減らしながら主導権を握る考え方に寄せます。
プッシュの角度とコース設計
浮き球に対する最有力はプッシュですが、強さより角度が先です。相手のラケットが下向きになる高さへ刺すと、次球が甘くなります。
狙いは“体の正面”“利き手側の腰”“ネット前の空間”の順で、無理な強打より“速い置き”を増やすと、ペアの読みが合いやすいです。
フェイントとステップの刻み
前衛は一歩で勝負が決まります。フェイントでラケットを見せ、相手の面を上向きにさせてから踏み込むと、弱い球が出ます。
足は細かく刻み、最後の半歩で体を前に滑らせる感覚を持つと、詰めすぎによる被弾が減ります。戻るときは必ずラケットを中央へ戻し、次の選択肢を広く保つのが目安です。
ブロックリフトの判断基準
相手の強いスマッシュに対して、ブロックかリフトかの判断で展開が変わります。
体勢が整っていればブロックでネット勝負、苦しいなら高いリフトで時間を作ると、無理な反撃よりも被弾を避けられます。どちらも真ん中寄りを通すと相手同士が迷いやすいです。
比較 前に張る配分が多いと得点機会が増えますが、被弾のリスクが上がります。
一方 一歩下がって読む配分を増やすと安全ですが、押し返す速度は落ちやすいです。相手の前衛力に応じて配合を変えるのが中期の目安です。
ミニ用語集
- ブロック 軽く面に当て相手前で落とす守備的返球
- プッシュ ネット前の浮きを速く押し込む攻撃的打球
- 刻み 足を細かく動かし最後の半歩を作ること
- 被弾 相手の強打が前衛に直撃する状況
- 置き 強くせず角度とコース優先で刺す打ち方
ミニチェックリスト
・面は常に胸の前へ戻しているか。
・最後の半歩を作る余白は残っているか。
・真ん中の球に二人で同時に触っていないか。
・被弾が続く日は“置き”へ切り替えられているか。
後衛のラリー設計とショット選択の基準

後衛は崩しの設計者です。重い一打と緩急の配分で相手の足を止め、前衛に仕事を作ります。ここではクリア、スマッシュ、カット、ドロップ、そして外へ追い出す配球の基準を整え、相手の体勢を崩し続ける道筋に寄せます。
クリアとスマッシュの配分
序盤はクリアで相手を奥へ押し込み、軸足が後ろに残った瞬間にスマッシュで刺すと効率的です。
スマッシュは一直線だけでなく、センターへ集めて相手同士の迷いを作ると、返球が甘くなりやすいです。力が落ちる時間帯は、無理をせずクリアとドロップで呼吸を整えると、終盤まで質が保てます。
カットとドロップの質を上げる
同じスイングからの緩い球は相手のステップを鈍らせます。
ネットへ落とすだけでなく、相手の利き手側バックフットへ沈めるカットを混ぜると、姿勢が崩れて次のスマッシュが通りやすいです。高さはネット直後に軽く跳ねる程度が目安で、速くし過ぎると前衛が触れなくなります。
コート外へ追い出す配球
クロスの深いクリアと、同方向のスマッシュを続けると、相手はコートの外で打つ回数が増えます。
体の向きが外へ向いた瞬間にセンターへ落とすと、戻りが遅れて前衛のプッシュが刺さります。配球は“同じ方向に二打続ける→逆を取る”を基本に、読まれたら一度リセットする柔軟さが長期で効きます。
- 序盤は深いクリアで相手の重心を後ろへ集める
- 足が止まったらセンタースマッシュで二人の間を狙う
- 緩い球で姿勢を崩し、前衛の一歩へつなぐ
- 外へ追い出した直後は逆を突いて空間を作る
- 読まれたら一度テンポを落として配球を再設計
- 終盤は体力を見ながら緩急の比率を微調整
- 決め急がず“次の一本”の準備を常に残す
クロス深くへ二球連続で押し込み、相手の姿勢が外へ向いた瞬間にセンターへドロップ。戻る動線と交差して前衛がプッシュで仕留められました。配球の“同方向→逆”は効きます。
ベンチマーク早見
・センタースマッシュ後に浮きが出る率が半分以下なら続行。
・クロス深くのクリアで相手の戻り二歩以上なら追撃。
・緩い球で前衛が触れない比率が高い日は高さを再調整。
守備から主導権を取り返すディフェンス設計
守備は“耐えるだけ”では点に結び付きにくいです。面の角度と高さで時間を作り、次の一歩を先に踏み出す仕組みにすると、守りが攻めへ変わります。ここではドライブ防御、速度調整、連続プッシュ対策の三点から反転の型を用意します。
ドライブ防御の面の角度
速球の打ち合いでは、面の角度が数度ずれるだけで浮きます。
相手のラケットが上向くまで無理に押し返さず、やや下向きの面で真ん中へ返すと、二人の間で迷いが生まれます。狙い過ぎてサイドへ切れる日ほど、センター優先に戻すとラリーが落ち着きます。
ラリー速度の調整で時間を作る
守備が続くときは、ブロックで前へ落とし相手前衛を動かしつつ、次の球で高いリフトを混ぜると呼吸が整います。
“速いだけ”の交換から一度抜け、相手の打点を下げる時間を作ると、コート全体のスペースが見えやすくなります。速度の上下をペアで共有すると、反撃の合図が明確になります。
連続プッシュ対策の型
ネット前で押し込まれたら、同じ高さで勝負し続けるより、いったん高いロブで剥がす方が被弾を減らせます。
ロブの直後は横並びで時間を作り、浮いたら前衛が詰める約束だと切替が速いです。被弾が続く日は“置き”で角度を変え、相手のリズムを崩すのが目安になります。
- 迷ったらセンターへ低く通して相手の間を割る
- 被弾後の一球は高く剥がして体勢を整える
- 前へ落とす→高く逃がすの二段で呼吸を作る
- 速度の上下を合図で共有しておく
- サイド狙いが切れる日は無理せず中央回帰
- ロブ後は横並びで時間を稼ぐ
- 押し返せる時だけクロスへ変化を入れる
- 被弾連鎖は“置き”へ戻して面を整える
注意 守備での見栄えにこだわるほど、難しい返球を選びがちです。一本で形勢を返すより、二球で安全に反転する意識が長く効きます。
手順ステップ
- 守備開始のサインを決める(例:センター低め)
- 前→高→再配置の順に二球で反転を設計
- 被弾が出た側は次球を“置き”へ戻して角度調整
ペアコミュニケーションと戦術の合わせ方
勝つペアは、情報のやり取りが短く速いです。合図と言語化を整えると、修正が早まり、同じミスが続きにくくなります。ここでは合図の設計、作戦会議の型、試合中の修正手順を具体化し、終盤での上積みを狙います。
合図とキーワードの設計
交差は「入る/残る」、速度は「上げる/落とす」、狙いは「前/後/中」の三語で足ります。
合図は視線・ラケットの角度・声の三つから二つ以上を重ねると伝達精度が上がります。練習でも同じ言葉を使い、試合だけ変えない工夫が迷いを減らします。
作戦会議のテンプレ
インターバルでは、①相手の弱点、②自分の強み、③次の三球の設計の順で共有します。
勝っているときは継続条件を確認、負けているときは“逃げの型”を先に置くと、気持ちが落ち着きます。長く話すより、次の一本で試すことを一つに絞ると展開が早まります。
試合中の修正手順
連続失点は“原因の仮説→一つだけ変更→再評価”の流れで扱うと、迷走が減ります。
例えば被弾が続くなら前衛の立ち位置を半歩だけ下げ、次にセンタードライブの比率を上げる、というように段階を踏むと、効き目が見えやすいです。
Q&AミニFAQ
Q うまくいかない日の最初の一手は。
A 三球目の型に戻り、センター優先で時間を作ると立て直しやすいです。
Q 声が届かない会場では。
A ラケットの角度と視線で合図を重ねます。事前に意味を決めておくと伝わります。
ベンチマーク早見
・合図後に同じ動きが出た割合が半分以上なら良好。
・インターバルで次の三球が言えたら共有完了。
・終盤の一本で迷いが出たら言葉を二語まで短縮。
比較 事前に決めた型を守ると安定は高まりますが、読まれやすい側面があります。
一方 現場裁量を増やすと奇襲が利きますが、共有が遅れるとミスが連鎖します。相手とスコアで配合を変えるのが実用的です。
まとめ
ダブルスの肝は、ルールに裏打ちされた配置と三球目の設計です。サーブ順と立ち位置を迷わず共有し、横並びと前後を状況で切り替え、前衛は角度で刺し、後衛は緩急で崩す。
守備は二球で反転する意識が長く効き、合図と言語化が早いほど終盤で伸びます。練習では勝ち筋の型と逃げ方を一つずつ決め、試合では二語の合図で迷いを減らすと、一本の価値が上がります。今日から三球目の狙いだけでも共有し、同じ絵を見ながら勝ち方を積み上げていきましょう!


